インフルエンザワクチン

不活化ワクチン/生ワクチン
任意接種(高齢者は定期接種)

2024年から2歳から18歳で接種できる鼻にスプレーする生ワクチン「フルミスト」が発売となりました。ワクチンの接種年齢、接種回数が注射の不活化ワクチンと異なります。詳しくは「経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)について」をご覧ください。

予防するVPD

接種時期と接種回数

注射の不活化ワクチンの場合、生後6か月以上13歳未満は2回接種です。10月ごろに1回目を接種し、およそ2~4週間(できれば4週間)あけて2回目を接種します。13歳以上は通常1回接種です。

WHO(世界保健機関)や米国では、生後6か月~8歳まで接種歴がない場合は2回接種(接種間隔は4週間以上)が推奨されています。接種歴がある場合、9歳以上は1回接種が推奨されています。米国では筋注で接種し、生後6か月から3歳でも成人と同じ接種量の製剤が発売されています。接種回数に関してはかかりつけ医とご相談ください。

おすすめの受け方

インフルエンザは脳炎や肺炎など重症の合併症を起こすことがあり、普通のかぜとは違う重いVPD(ワクチンで防げる病気)です。接種2週以降に、免疫が誘導されるので、流行前に余裕を持って接種しましょう。

WHOが毎年、流行するウイルスの型を予測し、それにあわせたワクチンがつくられています。前のシーズンに接種していても十分な予防効果は期待できませんので、毎年接種しましょう。

スケジュールを立てる時のポイント

流行前に接種が終わるようにスケジュールを立てましょう。多くの小児科では10月前半から接種を開始します。2回接種が必要な場合は、1回目は10~11月、2回目は11月中に接種するのがおすすめです。
予約方法などがほかのワクチンと異なる場合もありますので、あらかじめ問い合わせをしておきましょう。

卵アレルギー

卵アレルギーのある方も接種が可能ですが、念のために接種前にかかりつけの小児科医と相談してください。

ワクチンの効果と安全性

発症予防効果は麻しんなどほかのワクチンと比べて高くありませんが、重症となり入院を予防する効果があり、是非接種しましょう。

また、妊娠中に母親が接種を受けると生まれた赤ちゃんのインフルエンザ発症予防効果があります。 接種部位が赤くなったり、腫れたりする局所反応や発熱を起こすこともありますが、ほとんどは軽く自然に治ります。ごくまれですが、ショックやじんましん、呼吸困難などのアレルギー症状が現れることがあります。

経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)について

欧米では20年以上前から使用されていましたが、日本では2024年から正式に承認され接種できるようになりました。鼻に噴霧するワクチンのため痛みはありません。対象は2歳~18歳で、接種回数は1回です。

弱毒化したインフルエンザウイルス(マスタードナーウイルスと呼ばれています。)とそのシーズンに推奨されたインフルエンザウイルスの遺伝子を併せ持つウイルス(遺伝子再集合体ウイルスと呼ばれます)からなる生ワクチンです。

生ワクチンのために免疫不全と診断されている人、免疫を抑制する治療を受けている人、妊娠中の人は接種できません。

ワクチン接種後に、鼻水、鼻づまり、せき、のどの痛み、頭痛などの症状が現れることがあります。接種後1~2週間は、投与されたワクチンウイルスが排出される可能性があり、重度の免疫不全者との密接な接触は避けてください。

ワクチンはマスタードナーウイルスが持つ安全性を確保する3つの性質(温度感受性、低温馴化、弱毒化)と、その年に流行が予測されるインフルエンザに対する免疫を誘導する能力を併せ持っています。温度感受性は高温(39度)でのウイルスの増殖が抑制され、低温馴化は低温(25度)でのウイルスの増殖が増強します。さらに弱毒化により動物実験で病原性の低下が示されています。経鼻投与されたワクチンは、温度による増殖の制約のために、低温の上気道(鼻)では増殖し免疫を誘導できますが、高温の下気道(肺など)では増殖が制限されるため、安全性が確保されています。

(2024年9月更新)

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