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ワクチンの安全性や副反応が心配な人のQ&A

2024年9月更新

ワクチンの副反応が多数報告されていると聞きました。
薬の服用後の副作用と同じように、ワクチン接種後にみられた受けた人にとって”悪いこと”(これを有害事象と呼びます)は、医師などが厚生労働省に報告します。「予防接種後副反応疑い報告」にあがった事例は必要に応じてワクチンの副反応か否かを科学的に調べます。
名称は「副反応疑い報告」であるため、報告例のすべてがワクチンによる副反応であると誤解されがちです。しかし、実際には副反応でない”紛れ込み”のケースが多く含まれています。
 
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ワクチンが病気を予防するしくみは安全ですか。
ウイルスや細菌などの病原体が体内に入ってくると病気を起こしますが、体には病原体をやっつけて病気を治そうとするしくみが備わっています。このような体のしくみを「免疫」といいます。しかも多くの場合、体は一度入ってきたことのある病原体を覚えていて、次からは病気が起きないようにすばやく対応できるようになります。
ワクチンとは、病原体に対する免疫をつける性質は残しながら、病気は起こさないように病原体の毒性を弱めたり、なくしたりしたものです。
ワクチンを体に入れる(ワクチン接種)と、体に大きな負担をかけたり危険にさらしたりすることなく、免疫をつけることができます。ワクチンで前もって免疫をつけておけば、その病気にかからないか、かかっても軽くすみます。その結果、他の人に病気をうつすことも防ぐことができるのです。
 
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生後2か月でワクチン接種後に発熱しました。予防接種の副反応か心配です。
予防接種の後に発熱することは比較的よくあることです。予防接種による発熱であれば、心配する必要はあまりありません。発熱以外の症状はほとんどありませんし、たいていは何もしなくても1日程度で下がるからです。
むしろ心配なのは予防接種以外の原因、すなわち、病気による発熱です。これを”紛れ込み”といいます。かぜのようなウイルス感染症や、細菌による髄膜炎や尿路感染症など重い病気のおそれもあります。
予防接種による発熱と、病気による発熱を区別するのは簡単なことではありません。38度以上の熱が出たり、哺乳力が弱くなったり、機嫌が悪くなるようなときは、接種医に連絡をしたり、できるだけ早めに受診しましょう。
 
 
どうして、ワクチンは自然感染より安全なのですか。
例えば、麻しん(はしか)や水痘(みずぼうそう)などは、1度かかると2度とかかることはないと言われます。これは、麻しんや水痘を起こすウイルスが体に入ったことを「免疫」が記憶し、再びこれらのウイルスが体に入った時にただちにやっつけるからです。
このような体の仕組みを利用して、病気にかかる危険をおかすことなく、安全に免疫をつけるための方法がワクチン接種です。接種後の重い副反応は極めてまれで、100万回に1回以下と言われています。小さく、かよわい赤ちゃんでも安全に免疫をつけることができます。まわりの人へ病気をうつさないことも、ワクチンの利点です。
一方、ワクチンを接種せず自然にかかってしまうのは、ワクチンのない時代と同じです。都合よく”ちょうどよい”かかり方を期待しても、自然は甘くありません。自然感染には常に重い後遺症や死亡の危険性が伴います。
 
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副反応のリスクがあるのに、どうしてワクチンを受けるのですか。
ワクチンは極めて安全な医薬品のひとつです。医薬品に多少なりとも副作用があるように、ワクチン接種後に副反応が起こる可能性はゼロではありません。ただし、ほとんどの副反応は軽い症状で、重大なものではありません。特に重いアレルギー体質や免疫の病気などがなければ、健康な子どもたちに重大な副反応がおこることは極めてまれです。
ただし、極めてまれだとしてもワクチンのリスクはゼロではありません。それでも、ワクチンを受けるのは、VPD(ワクチンで防げる病気)を予防するメリットの方が、ワクチンのまれなリスクよりもはるかに大きく、意義があるからです。
 
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ワクチン接種後に医療機関で待機するのは危険だからですか。
予防接種の後に、30分程度医療機関で待機したり、連絡が取れるようにしておくのは、アナフィラキシーショックへの備えのためです。アナフィラキシーショックとは、短い時間のうちにじんましんや呼吸困難など複数のアレルギー症状が出る反応です。医療機関で適切な対処を行えば、命に関わることはありません。
アナフィラキシーショックほど重篤でなくても、これまでワクチンの接種後に心配な症状があった場合は、ワクチン名と接種後どのくらいの時間でどのような症状があったかをあらかじめ医師に伝えておくと安心です。気になったことは母子健康手帳にメモしておきましょう。
 
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ワクチン接種後はどのような副反応がおこりますか。
赤ちゃんの予防接種では、ワクチン接種後におこる副反応が心配ですね。実際には接種した部分が赤く腫れたり、少し熱が出たりする程度の軽い副反応がほとんどで、これらは2、3日以内には治まります。生ワクチンでは熱や発疹などその病気の症状が軽く出ることもあります。また、ワクチンに含まれている成分に対する強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)や、脳症や脳炎など中枢神経の合併症も報告されますが、ともに非常にまれなものです。
ワクチンも医薬品の一種ですので、効果がある反面、副反応の可能性がゼロというわけではありません。しかし、ワクチンほど世界中で広く使われ、さらに使用後の調査が行われていて、安全性が保証されている医薬品は他にありません。実際にワクチンの安全性はとても高く、ワクチン接種はWHO(世界保健機関)が先頭に立って世界中で推進されています。
 
 
同時接種は、赤ちゃんのからだ(免疫機能)に負担になりませんか。
「まだ小さい赤ちゃんがワクチンを何本も受けて大丈夫?」保護者の方が不安になるお気持ちもわかります。でも、安心してください。
日本で同時接種が積極的に導入されたのは10年ほど前ですが、米国では20年以上前から、予定よりも早く生まれた赤ちゃんでも生後2か月から6種類を同時接種で受けています。
人の免疫システムには十分な余裕があり、一度に多くのワクチンを接種しても対応する能力があります。免疫力が未発達な赤ちゃんが10種類を同時接種しても体にかかる負担はほんのわずかで、持っている免疫システム全体の0.1%くらいしか使用しません。
日本では、生後2か月で、B型肝炎、ロタウイルス、小児用肺炎球菌、五種混合(DTP-IPV-Hib)ワクチンの4種類を同時接種しますが、これまで大きな問題は起こっていません。この事実の積み重ねこそが、ワクチンが安全であることの何よりの証拠です。
 
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最大で何本まで安全に同時接種をできますか。
同時接種の組み合わせや本数に制限はありません。生ワクチンと生ワクチン、不活化ワクチンと不活化ワクチン、生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせもすべて可能です。また、定期接種と任意接種の組み合わせもすべて可能です。飲むワクチンと注射のワクチンの同時接種も問題ありません。
当会がおすすめするスケジュールでは、生後2か月にB型肝炎、ロタウイルス、小児用肺炎球菌、五種混合(DPT-IPV-Hib)の4種類のワクチンの同時接種を提案しています。1歳では、麻しん風しん混合(MR)、水痘、おたふくかぜの3種類の初回接種と小児用肺炎球菌、五種混合を加えた5種類の同時接種をおすすめしています。