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予防接種、ワクチン全般に関するQ&A

2024年9月更新

予防接種の目的を教えてください。
ワクチンの目的は、3つあります。1つは、自分がかからないため。2つめは、かかっても重症にならないため。3つめは、人にうつさないためです。
私たちの周りには、ワクチン接種前の乳幼児、妊婦、高齢者、病気などのためにワクチンを受けられない人が多くいます。このような人たちをVPD(ワクチンで防げる病気)から守るには、社会全体で病気を流行させないことが大切です。
例えば、大人の風しんは軽い症状で済むことが多いのですが、妊娠中にかかるとおなかの赤ちゃんに障害が残ってしまうため、地域で風しんを流行させないことが必要です。
また学童期以降に百日せきにかかっても比較的軽く済みますが、赤ちゃんがかかると命の危険につながります。百日せきを含む三種混合ワクチンなどを入学前に受ける主な目的は、赤ちゃんを守るためです。
かかっても軽く済む病気でも、人に移さないためにワクチンを受ける必要があることをご理解ください。
最近では、生まれたばかりの赤ちゃんを守るために妊娠中の母親が接種する母子免疫ワクチンがあります。
 
 
そもそも、なぜワクチンを受けるのでしょう。
赤ちゃんは、さまざまな感染症にかかり免疫をつけながら成長していきます。でも、赤ちゃんがかかりやすい感染症は、かぜのように軽く済む病気ばかりではありません。感染症の中には、確実な治療法がなく深刻な合併症を起こして命を落としたり、後遺症を残したり、ときには死亡するこわい病気もあります。感染力が強い感染症にかからないようにする最も確実な方法がワクチン接種なのです。
ワクチンを受ける理由は、VPD(ワクチンで防げる病気)は感染力が強く症状が重い病気で、現代においても治療法が確立されていないために、予防するにはワクチンが必要だからです。
 
 【関連ページ】ワクチンについて
 
定期接種と任意接種の違いは何ですか。
日本では、予防接種法による「定期接種」とそれ以外の「任意接種」があります。
保護者の中には「定期接種だけ受けておけばいい」と考えている方が少なくありません。でも、任意接種だからといって、受けなくても大丈夫(軽い病気)というわけではありません。任意接種であっても、重い後遺症を残したり、死亡したりするVPD(ワクチンで防げる病気)であることに違いはありません。VPDから子どもを守るためには、任意接種のワクチンも必要です。日本では2020年10月まで任意接種だったロタウイルスや任意接種のおたふくかぜ、インフルエンザ、A型肝炎のワクチンもアメリカでは定期接種です。接種していないと原則として保育所や学校には入れないくらいです。
日本でも、これまで任意接種だったワクチンの定期接種化がすすみ、2013年にヒブ、小児用肺炎球菌、HPV(子宮頸がんなどのヒトパピローマウイルス)の3種類のワクチンが、2014年に水痘(みずぼうそう)が、2016年にB型肝炎が、2020年にロタウイルスワクチンが定期接種となりました。
新型コロナ、おたふくかぜ、入学前の三種混合(DPT)ワクチンは任意接種ですが、接種をお勧めします。
 
同時接種の目的は何ですか。
日本の赤ちゃんが1歳前に接種する主なワクチンは5~7種類。何回か接種するワクチンもあり、接種回数は12回以上にもなります。予防接種スケジュールを簡単にして接種忘れなどを少なくするのに有効なのが、同時接種です。同時接種は必要な免疫をできるだけ早くつけてお子さんを守るだけでなく、保護者の方の通院回数を減らすことができます。世界中の小児科医が同時接種をお奨めしているのは、予防という本来の目的を果たす意味で非常に重要だからです。
同時接種は必要な免疫をできるだけ早くつけてお子さんを守るだけでなく、通院回数を減らし保護者の方の負担軽減にもつながります。
 
 
「ワクチンデビューは生後2か月の誕生日」といわれるのはなぜですか。
「ワクチンデビューは生後2か月の誕生日」は、私たちNPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会が呼びかけているメッセージです。
免疫力の弱い赤ちゃんをVPD(ワクチンで防げる病気)から守るには、その病気にかかりやすくなる前に、ワクチンによって予防する必要があります。
百日せきやヒブ感染症、小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスは、低月齢から感染しやすいために、ワクチン接種で早期に免疫を得ておかなければなりません。痛そうだからとか、まだ小さいからという理由で先延ばしにしている間にも感染するおそれがあります。
だから、生後2か月になったら「できるだけ早く」ワクチンを接種することが大切です。
 
 
追加接種を受けるのはなぜですか。
ワクチンは、決められたスケジュール通りに受けることで予防効果が高まります。0歳で3回、1歳で追加接種を1回受けるワクチンには、小児用肺炎球菌、五種混合などがあります。これらのワクチンを0歳の3回接種だけでやめてしまうとどうなるでしょう。4回のうち3回を受けたのだから、4分の3、約75%くらいは予防効果があると思う人もいるかもしれません。残念ながら、実際には年月が経つと細菌やウイルスから守れないほど効果が落ちてしまうのです。
最後の1回の追加接種をすると、病気に対する抵抗力がぐんと強力になり、予防効果を長く続けられるようになります。きちんと最後の1回まで接種をして赤ちゃんを守ってあげられるように、忘れないでください。
不活化ワクチンは、1回の接種では十分な免疫が得られないため、追加接種で効果を長持ちさせるスケジュールになっています。
 
 【関連ページ】ワクチンの種類
 
ワクチン接種後は、すぐには次のワクチンを受けられないと聞きました。
BCG、MR(麻しん風しん混合)、水痘、おたふくかぜなどの注射の生ワクチンのあとに、別の注射の生ワクチンを接種する場合は4週間あける必要があります。
以前は、ロタウイルスワクチン(飲むタイプの生ワクチン)や不活化ワクチンの接種後に一定期間あける必要がありましたが、いまはルールが変わり接種間隔の制限はなくなりました。
 
予防のためには効率的な接種を考えることも大切です。例えば、1歳すぐにMRワクチンだけを接種すると、ほかに1歳で受ける水痘、おたふくかぜのワクチン接種が遅れてしまいます。
効率的に受けるには、MR、水痘、おたふくかぜの生ワクチンの同時接種がおすすめです。同時接種は、不活化ワクチンと生ワクチンの組み合わせでもできます。
 
 
生ワクチンと不活化ワクチンの違いを教えてください。
ワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチン(トキソイドも含む)、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンに分けられます。
 
生ワクチンはウイルスや細菌の病原性(毒性)を弱めて、免疫をつくるのに必要な成分を残してあり強い免疫を得られます。接種回数は1,2回です。
BCG、MR(麻しん風しん混合)、水痘、おたふくかぜなどの注射の生ワクチン接種後4週間(中27日)は別の注射の生ワクチンを接種できません。
 
不活化ワクチンは、病原性(毒性)を完全になくしています。十分な免疫を得るために3~5回接種します。接種後の接種間隔の制限はありません。
 
新型コロナワクチンで登場したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、病原体の遺伝情報のみを接種して、免疫を獲得します。予防のためには、決められた回数の接種や追加接種が必要です。接種後の接種間隔の制限はありません。
 
 【関連ページ】ワクチンの種類
 
赤ちゃんには予防接種は不要と聞いたことがあります。
子どもと大人はサイズが違うだけでなく、からだのつくりも異なります。とくに赤ちゃんはからだのつくり、機能がもっとも未発達です。病気に対する免疫力も未発達で、生まれてすぐの免疫力が一番弱く、6か月を過ぎるころから少しずつ強くなってきます。さまざまな感染症にかかることで免疫(抗体)をつけながら成長していきますが、それでも2歳くらいまでは大人に比べるとまだ弱いままです。
だから、病気にかかりやすく、重症化しやすい赤ちゃんにこそ、予防接種が必要なのです。
 
 【関連ページ】子どもの免疫とワクチン
 
できるだけ早くワクチンを受けたいのですが、接種券が届いていません。
接種券(予診票)は、定期接種や公費助成があるワクチン接種に必要です。初めての予防接種となるB型肝炎、ロタウイルス、小児用肺炎球菌、五種混合ワクチンの接種券は、生後2か月に間に合うように届けられます。出生届提出時に窓口で受け取る自治体や医療機関に備え付けの場合もあります。いずれにしても、予防接種の予約の際には「接種券(予診票)」が手元にあるか確認してください。届いていない場合には、お住まいの自治体の予防接種担当窓口に問い合わせましょう。
 
例えば、日本脳炎ワクチンは標準的な接種時期の3歳を目安に送付する自治体がありますが、生後6か月から定期接種で受けることもできますのでかかりつけ医と相談して、必要に応じて自治体の窓口と相談してください。
 
定期接種以外にも、自治体によって接種費用が助成されるワクチンがあります。助成がある任意接種ワクチンについては自治体に確認してください。