新しい日本脳炎ワクチン(商品名:ジェービックVなど)が5月後半にも発売される見込みで、6月初旬から定期接種として使えるように厚生労働省も法令改正を予定しています。これは、1年間分の対象者分は十分まかなえる数量ですが、平成17年5月の「積極的な接種勧奨の差し控え」勧告以降の未接種者分はまかなうことができません。そのため、多少の変更はするとしても、厚生労働省はこの勧告を継続するようです。
そもそも、現行ワクチンはADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)という脳神経の病気との関連が否定できないとの理由で積極的な勧奨が差し控えられました。しかし、このことに関心を寄せた国連のWHO(世界保健機関)の専門家委員会では、日本脳炎は重大なVPDでありワクチン接種は必要との見解を表明しています。その上で、マウスの脳を使用した現行ワクチンでADEMが起こったというはっきりとした証拠はないと言及しています。
また、新しいワクチンということでも、その安全性が心配という方がいらっしゃるかもしれません。新ワクチンはサルの腎臓の細胞を用いた方式(組織培養方式)で製造され、脳の組織を使用しません。組織培養方式を用いた他の種類のワクチンは諸外国で多く利用されており、すべてのワクチンの安全性に関しては、世界中で関心を示しています。
そのため、組織培養型ワクチンもよく調査されていますが、特に問題は出ていません。日本でも、今回の新型ワクチン接種後の健康状態について厳密な調査が行われます。
さて、結論です。現行であれ、新型であれ、日本脳炎ワクチンはどちらも安全です。安心して受けてください。 (藤岡 雅司)
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