●Vaccine("ヴァクシーン")=ワクチン
●Preventable(“プリヴェンタブル")=防げる
●Diseases("ディジージズ")=病気
つまり、VPDとは「ワクチンで防げる病気」のこと。ワクチンの専門的な学会などでは使われる言葉ですが、一般的にはあまり知られていませんよね。
このホームページでは、今いちど、ワクチンで病気を防ぐことの大切さをよく知っていただくために、VPDという言葉を使うことにしました。これからVPDやワクチンについて、たくさんお話ししますが、とても大切なことです。なぜかというと、VPDは、子どもたちの健康と命にかかわる問題だからです。
子どもたちがかかりやすいVPDには、次のようなものがあります。
予防接種でおなじみの病気もありますね。これらのVPDがみな、子どもたちの命にかかわる重大な病気と言われても、ピンと来ないかもしれません。でも現実に今も日本では、子どもも大人も毎年多くの人がこれらのワクチンで予防できるはずの病気(VPD)に感染して苦しんだり、後遺症を持ったり、死亡したりしているのです。
私たちは小児医療にたずさわる医師として、厳しい現実を見てきました。VPDは子どもたちの健康と命にかかわる重大な病気であることを、知ってください。
世界中には、とてもたくさんの感染症が存在します。中には、マラリヤやデング熱のように、ワクチンがないために有効な予防ができず、年間何十万、何百万という人の命を奪っている感染症も少なくありません。
そんな中で、予防のためのワクチンが開発されているVPDは、たいへん少数です。せっかくワクチンがあっても、接種しなければ予防はできません。防ぐ方法のある病気なのに、防がない。こんなにもったいないことはありませんよね。
「ワクチンさえ接種していれば、こんなことにはならなったのに・・・」という思いは、ほとんどの小児科医が経験したことのあるものです。VPDにお子さんがかかり、重い後遺症が残ったり、場合によってはお子さんを亡くしてしまったりしたら・・・。ご家族の無念さや心のいたみは、とても私たちが書き表せるものではありません。
世界中のみんながなぜ痛い思いをしてワクチンを受け、麻しんなどのVPDがなくなることを願っているのか、考えてみてください。かかると今でも治療が難しくて、命にかかわる病気だからこそ、ワクチンが作られたのです。VPDはワクチンで防ぐべき病気なのです。
病気とはこわいものです。失った命や健康は戻ってきません。ワクチンで防げる病気は予防しましょう。
日本では、欧米などの国にくらべてたいへん多くの子どもたちがVPDにかかって、健康を損ねたり命を落としたりしています。
ひとつには、ワクチンの接種率が低いことが原因としてあげられます。これはワクチンを受けさせなかった保護者の方が悪いのではありません。今の日本では、VPDの重大さやワクチンの大切さを、一般の方々が知る機会が多くありません。もうひとつの原因は、他国では接種できても日本では使用できなかったワクチンが多かったためです。大切なワクチンと知っていても、任意接種でお金がかかるのではたいへん受けにくいものです。
医療大国のはずの日本。でも、予防接種制度は、世界的に見ると遅れています。VPDの被害をなくす前にいくつもの壁が立ちはだかっているのです。
私たちNPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会は、VPDで苦しむ子どもが日本から一人でも減るように、まず、皆さんにVPDの正しい情報を知っていただきたいと考えています。このホームページでは、VPDやワクチンについて、いろいろな情報を発信していきます。VPDを知ってVPDの被害をなくし、日本の子どもたちを守るためにこのホームページがお役に立てば幸いです。
(2024年4月更新)