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子供のVPD

ヒブ感染症(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型感染症)

どんな病気?

ヒブ(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型:Hib)による感染症で、小さな子どもがかかる重大で命にかかわるVPDです。

ヒブワクチン導入前の日本では、年間約600人が重いヒブ感染症である細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)になっていました。細菌性髄膜炎は毎年約1,000人がかかっていましたが、60%がヒブによるものでした。
ヒブ感染症が比較的多かった欧米では、小さな子どもにも有効なワクチンが1980年代に開発され、国のワクチンプログラム(日本でいう定期接種)に組み込まれた結果、この病気が99%減少しました。

細菌性髄膜炎にかかった子どもの約66%は0~1歳児で、約34%は2~4歳児です。生後5か月頃から急に増えます。ヒブ感染症は、誰もがかかる危険性のある感染症ですが、集団保育の子どもは2~3倍かかりやすいと言われています。

症状や経過

ヒブが鼻やのどから入って、脳を包む髄膜(ずいまく)、のどの奥の喉頭蓋(こうとうがい)、肺などに炎症をおこします。
ヒブが脳を包む髄膜について炎症を起こすと細菌性髄膜炎を引き起こします。細菌性髄膜炎は脳の中にも膿がたまったり(膿瘍)、脳脊髄液(のうせきずいえき)が増えたり(水頭症)することもあります。早期の症状は熱と不機嫌くらいで、血液検査をしてもかぜと区別できないことも多いのです。このため診断が遅くなりがちです。その後、ぐったりする、けいれん、意識がないなどが出てきます。そのうえ、抗菌薬が効かない耐性菌も多く、治療は困難です。亡くなる子どもも2~5%いて、脳の後遺症が30%くらいに残ります。また、後遺症が無いように見えても、中学生頃に軽度の知能低下が分かることもあります。

喉頭蓋炎になるとたいへん重症になり、空気の通り道が狭くなり窒息して死亡することも少なくありません。

重症になると...

基本的に、上記のように重症になります。とくに髄膜炎による後遺症として、発達・知能・運動障害などのほか、難聴(聴力障害)がおこることがあります。

予防は?

五種混合ワクチン(定期接種・不活化ワクチン)で予防します。
生後6か月以降からかかる赤ちゃんが増えますので、『生後2か月のお誕生日』になったらできるだけ早く接種します。
生後2か月からB型肝炎、ロタウイルス、小児用肺炎球菌ワクチンとの同時接種が可能です。

五種混合(DPT-IPV-Hib)ワクチンは従来の四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ)ワクチンとヒブワクチンを混合したワクチンで、2024年4月から定期接種となりました。2024年3月までにヒブワクチンを接種していたら、残りの必要回数も原則としてヒブワクチンを接種しますが、五種混合ワクチンに変更しても間違い接種ではありません。

細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会
http://zuimakuen.net/

お子さんが肺炎球菌やヒブによる感染症(細菌性髄膜炎)にかかった保護者の方が作った会です。患者さんや家族の思いに触れることができます。この病気の理解と予防につながると思いますので、ぜひアクセスしてください。

(2024年4月更新)