多くの哺乳類の赤ちゃんは生まれた直後から自分で歩き始めます。ところが人間の赤ちゃんは、歩きはじめるまでに1年ほどかかります。哺乳類の常識からいえば、いわば未熟児で生まれてきているのです。未熟な赤ちゃんには助けが必要で、母親や周囲の人に守られ、いろいろとお世話してもらいながら成長していきます。
子どもと大人はサイズが違うだけでなく、からだのつくりも異なります。とくに赤ちゃんはからだのつくり、機能がもっとも未熟です。これは、病気に対する免疫力も同じで、生まれてすぐの免疫力が一番弱く、6か月を過ぎるころから少しずつ強くなってきます。さまざまな感染症にかかることで免疫(抗体)をつけながら成長していきますが、それでも2歳くらいまでは大人に比べるとまだ弱いままです。6歳頃でようやく大人に近づきます。
よく「赤ちゃんは病気にならない」と言われます。へその緒や母乳を通じて母親から受け継いだ免疫(移行抗体)が赤ちゃんを守ってくれるからです。でも、それも一部の限られた病気の免疫でしかありませんし、生後6か月くらいまでにはなくなってしまい、その頃からいろいろなかぜなどの感染症によくかかるようになります。母親からもらった免疫力だけで、赤ちゃんをすべての感染症から守ることはできません。
母親からの免疫力に加えて弱い赤ちゃんの健康を守るのが、ワクチンです。病気にかかりやすくなる生後6か月ごろまでに、しっかりと免疫をつけてあげる必要があります。この時期にワクチンを接種すれば、赤ちゃんの体に負担をかけることなく、赤ちゃん自身の力で上手に免疫抗体をつくり出すことができるのです。だからこそ、生後2か月からのワクチン接種がとても大切なのです。
赤ちゃんが誕生すると、お七夜(命名)、お宮参り、お食い初めなど行事が続きます。はるか昔から子どもの成長を願って行われてきた行事です。科学が進歩した今の時代、子どもの健やかな成長のために重要なのが予防接種です。
生後2か月からワクチン接種をはじめるためには、生後2か月になる前にかかりつけの小児科に問い合わせて予約をしなければなりません。そのために、出生届を提出したら、かかりつけの小児科を探しはじめましょう。
赤ちゃんがかかりやすい感染症やかかってしまうと重症化しやすい感染症を予防するには、ワクチンが有効です。0歳で受けるワクチンは種類も接種回数も多いため、かかりつけ医は同時接種で受けられる小児科を選びたいですね。
先輩ママや新生児訪問の助産師、保健師さんなどから情報を集めるのもいいですが、小児科に直接連絡してみるのもおすすめです。同時接種を実施しているか問い合わせてみると、予防接種に対する小児科の考え方がみえるものです。
(2024年4月更新)