風しんウイルスによって急性の発熱と発しんを起こすVPDです。以前から男女ともにワクチンを2回接種してきた欧米とは大きく異なり、日本では今だに風しんが流行します。かかる年齢は生後1歳くらいからです。大人はかかってもたいていは軽く済みますが、重症になる例も無視できません。麻しん(はしか)ほどではありませんが、感染力が強く、症状の出ないままほかの人にうつす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって世界の国々で麻しんやポリオなどのワクチン接種率が低迷し、世界的な流行が始まっています。日本でもワクチン接種率の低下がおこり、海外から日本国内に持ち込まれたウイルスへの感染リスクが高まっています。お子さんの予防接種について、受け忘れているワクチンがないかをあらためて確認してください。
風しんで最も注意すべきは、妊娠中の感染です。妊娠初期の女性が感染するとおなかの赤ちゃんが障害を持って生まれるリスクがあります(先天性風しん症候群:CRS)。妊娠中の女性にうつさないためには、社会全体で風しんを流行させないことが重要です。
約2~3週間の潜伏期の後に熱が出て、首のリンパ節がはれ、体に赤い発しんが出てきます。発熱するのは3~4日間ですが、熱の出ない人もいます。
たいていは軽い症状ですが重くなる場合もあり、以下の合併症が問題です。
・風しん脳症が6,000人に1人におこります。
・風しんが治って数週間後に血が止まらなくなる血小板減少性紫斑が3,000人に1人見られます。
・妊娠初期の女性がかかると生まれつきの難聴、白内障(目のレンズの部分が白くにごって見えなくなる病気)、心臓病、精神運動発達遅滞などを持った先天性風しん症候群(CRS)の子どもが生まれることがあります。国立感染症研究所の追跡調査によると、2012年から2013年にかけての風しんの流行では、先天性風しん症候群になった子どもは全国で45人に上り、このうち24%に当たる11人が心臓の病気や肺炎などのため、生後1年余りまでに死亡していたことがわかりました。
MR(麻しん風しん混合)ワクチン(定期接種・生ワクチン)で予防します。1歳代と小学校入学前の1年間に2回接種します。
保護者も、ワクチンを受けていない、抗体がなくなっている場合には、必ずワクチンを接種しましょう。またパパがワクチンを受けていないとパパから妊娠中にうつることがありますので、パパにも接種しましょう。
(2024年4月更新)