鼻水やセキなどによる飛沫感染で、髄膜炎菌が鼻、のど、気管の粘膜から体に入って、血液や髄液などへ侵入すると、菌血症や敗血症、細菌性髄膜炎などの病気を引き起こします。初期症状は、発熱、頭痛、嘔吐など、風邪の症状に似ているため、早期診断がとても難しい病気です。髄膜炎菌による髄膜炎などの病気は、ほかの細菌による髄膜炎などの病気と比べて、病状が急激に進行することが特徴です。意識障害、ショック、全身性出血などのために死亡することもあります。発症後2日以内に5〜10%が死亡すると言われています。適切な治療を受けても、10〜20%の割合で神経障害や手足の切断などの後遺症を残すこともあり、ワクチンで予防することが重要です。
好発年齢は0歳〜5歳と15〜19歳です。学校やクラブ活動での流行もあります。学校保健安全法の「学校で予防すべき感染症」の一つに定められており、発症した場合は速やかな対応が必要です。
日本では海外と比較して報告数は多くありませんが、注意が必要な感染症のひとつです。
意識障害を伴う髄膜脳炎や、ショック、全身性出血を起こすウォーターハウス・フリードリクセン症候群という極めて重篤な合併症を起こすと死亡率が高くなります。
10~20%の割合で難聴、神経障害、四肢切断などの重い後遺症が残ることがあります。
髄膜炎菌ワクチン(任意接種・不活化ワクチン)で予防します。
学生寮や運動部などの集団生活で感染のリスクが高まることが知られています。また、海外留学で入寮する場合、特に米国の学校では入学に際して接種証明を求められることが多いので注意が必要です。高校や大学の運動部などで入寮する場合や海外留学では、事前に接種をすることをおすすめします。
またアフリカや中東、特に「髄膜炎ベルト」と呼ばれるサハラ砂漠以南、セネガルからエチオピアにかけての帯状の地域に含まれる国々渡航する時は必ず接種を受けてください。これらの地域への渡航の予定がある場合には、トラベルクリニックの医師と相談してください。
(2024年4月更新)