日本で接種できるワクチンは、定期接種と任意接種に分けることができます。
定められた期間内に接種する定期接種は、たいていは公費(無料)で実施されます。一方、任意接種は、ほとんどの場合、全額自己負担です。任意接種の費用は、ワクチンの種類や医療機関によって違いますが、何回か接種が必要なものもあるので、決して安い金額ではありません。でも、ワクチンで予防するのと、何もせずにVPDにかかるのと、一体どちらが「お得」なのでしょうか?
子どもがVPDにかかると、家計に大きな負担がかかります。たとえば、単に通院・入院の医療費だけでなく、それに伴ってさまざまの出費がかさみます。また、本来得ることのできたはずであろう収入を、仕事を休むことによって失うことになり(「逸失利益(いっしつりえき)」といいます)、その差額はたいへん大きくなります。さらに、実際にかかった出費だけでなく、家庭での看護や病院での付き添いなどの負担もお金に換算すると、大きな金額になります。これらは「間接医療費」と呼ばれて、多くの場合、直接医療費より高くなります
ワクチン接種のための費用とVPDにかかった時の費用を比べると、後者の方が大きいのです。このため、ワクチン接種は経済的な点だけで考えても、有用と言われています。
もし国が、子どもたちにとって必要なワクチンを法定の予防接種にすれば、任意接種を含めた多くのワクチンがもっと受けやすくなります。
医療費の増加が問題になっていますが、みんながワクチンを受けてVPDにかかる人が減れば、医療費を減らすことができます。間接医療費も合わせれば、ワクチン接種にかかる費用より安くすみます。家庭だけでなく、国にとっても、経済的負担が軽くなるのです。米国では、大統領が「予防接種を推進したために、国民の命と健康が守られ、医療費だけでなく、間接医療費までも大幅に削減できた」と演説しているくらいです。
何より、大切な子どもたちの命と健康を守ることができます。少子化が問題になっていますが、かけがえのない子どもたち一人ひとりを大切に育てていくことは、とても重要なことです。
現状ではせめて、任意接種のワクチンに公費の補助があるとありがたいですね。どうしたら実現できるか、みんなで考えていきましょう。
(2024年4月更新)